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土地を購入して家を建てようとする場合、どのようなことに注意して土地を探せばいいのだろうか。土地を決めてから住宅を考えるべきか、建築会社を決めてから土地を探すべきなのかも判断に迷うところ。そこで今回は、建築設計士の視点からみた土地選びのポイントについて注文住宅建築に携わる「ビーグラッド」の仲田伸吾さんと松下茂さんに話を伺った。

松下 茂さん

松下 茂さん 一級建築士事務所「アーキウェルワークス」代表取締役。依頼主とのコミュニケーションを大切にし、独自の感性と緻密な設計力を活かし、自然素材の家づくりを提案。「Be glad」の設計を担っている。「住まいの文化賞」ほか受賞歴多数。

仲田伸吾さん

仲田伸吾さん 「仲田建築株式会社」取締役。地元の気候風土に適した天竜材にこだわり、新築住宅の打ち合わせから設計、施工、監理、メンテナンスまで一貫して携わる。2011年、一級建築士事務所「アーキウェルワークス」とのコラボレートブランド「Be glad(ビーグラッド)」をスタートし、“心から喜ばれる家づくり”を理念として展開している。

子どもの通学時間を最優先して土地を探すのはもったいない

家を建てるには土地が必要となるが、何を基準に土地を探せばいいのだろうか。「学校が遠いと通学が大変だから学校に近い土地を探したい」、「なるべく小・中学校に近くて買い物にも便利な場所がいい」など、子どもの通学環境を優先して条件の合った土地を探す方も少なくはないだろう。確かに、子どもの入園、入学を機にマイホームを新築する場合が多いので、子育て中心の考えで土地を探すのは当然かもしれない。

「土地探しをご依頼される方の多くが“学校に近い場所”を第一条件にされます。通学も安心ですから、親御さんの立場からすると当然でしょう。ところが、学校に近いことが便利と感じられるのは、お子さんが中学を卒業されるまでと考えると、学校に近いことがメリットと感じられる期間は決して長い期間とは言えません。学校に近いことばかりに囚われず、その後の暮らし方がどうありたいかを考えたうえで土地を選ぶことが、土地探しの大切なポイントだと思います」。そう提言するのは設計士の松下さんだ。

かつて、小学校まで40分かけて通学していたという仲田さんは、「学校が遠いと子どもが可哀想と思いがちですが、意外とそうばかりではありません。私の経験から言うと、私の実家は学校から遠かったため、毎日友だちと一緒に長い道のりを帰っていましたが、学校に近い家の友人からするとそんな私が羨ましく見えていたそうです」と語る。

では、どのような手順で土地を探せばいいのだろうか。「先ず、家づくりのパートナーを決めて、その方と一緒に土地を探すことをお薦めします。気に入った土地があっても“もっと良い土地があるかもしれない”とつい欲が出てきて、何年も決まらないというケースはよくある話です。気になる物件があれば、建築会社の設計士にも見てもらってアドバイスしてもらうといいかと思います。設計士は数多くの土地に建物を設計していますので、様々な切り口でその土地の特徴を得ようとします。この土地ならこんな建物が可能ですという提案もできるはずです」と松下さん。

設計士が土地を一緒に探してくれるとは思っていない人が意外と多いのかもしれない。「家を建てる視点で土地を冷静に判断できる設計士からのアドバイスを土地探しの条件のひとつに加えていただければ」と仲田さん。条件が広がれば対象となる物件が増えるため、希望する土地が早いタイミングで見つかる可能性は高くなる。土地探しの時間短縮にも繋がるので、建物の打ち合わせにゆとりが生まれる。

満足度50%の土地でも作り手の工夫次第で100%に近づける

日当たりのいい南面道路や東南角地が条件のいい土地と言われ土地代も高いのが一般的だが、家を建てる側から見た土地選びのポイントはどのような点にあるのだろうか。仲田さんに聞いてみた。「周辺環境は大事ですね。静かな場所だと思って購入した土地に家を建てたら、目の前に建造物が建ってしまったというケースもありますから、将来的な情報を得ることも大切です」

松下さんは次のように語る。「まずはその土地に立って、光、風、匂い、音を感じ取り、それをもとに建物の配置、間取りを考えます。そして、私が最も重視するのが“視線の抜ける場所”があるかどうかです。“視線の抜ける場所”とは、見通しの良い奥行きのあるスペースのことで、その土地に風と光をもたらす重要なポイントでもあります。南面から採光できれば申し分ないのですが、南面だからといって必ずしも窓を大きく切れるとは限りません。交通量や人通りが激しい場所だと、1日中カーテンを閉めっ放しになります。どうすればカーテンを閉めずに視界が開けるのか、それが土地選びのポイントに繋がります。小さな庭を作って、植栽や格子で緩やかに目隠しするのもひとつの方法です。窓は、光と風を採り込むと同時に中から外へ視線を送る、つまり外と繋がる役目もあるのです。毎日の暮らしの中で景色を楽しみたい方からすれば、家の中から外に向かってどのように視線が抜けるのか、そのために窓をどの位置にどんな大きさで切るのか。土地は、空間づくりに大きな影響を与えるのです」。

「建物の作り手と一緒に選んだ土地であれば、満足度50%に感じる北面道路の土地でも、作り手の工夫次第で限りなく満足度100%の住まいに近づけることができます」と仲田さん。設計士が土地のハンディを魅力に変えてくれることも可能というわけだ。

以前、松下さんが設計した平屋住宅でこんなエピソードがあった。冬晴れの風が強い日に、仲田さんが定期訪問した際、施主さんが「きょうは風がなくて気持ちいいですね」の言葉に驚いたそうだ。外は風が吹いているのに、敷地の中にいると全く感じなかったという。これは、設計士の松下さんがその場所の特性を理解したうえで、夏は積極的に風を採り入れ、冬は風を遮るような方向に建物を配置したり、外構や植栽を計画したりしたからだ。季節によって風向き、照度が変わることを考慮した上で設計した、つまり“建物でフォローした”からこそ、傾斜地の変形敷地だったこの土地が住みやすくなったという事例である。

場所、日当たり、形状で判断する前に未来の暮らしのシーンを想像してみる

土地の形状や学校に近いなどの通学環境で判断するのではなく、新しい暮らしのシーンを思い描くことが土地探しには大切といえそうだ。(写真提供/ビーグラッド)

土地を単体で見ようとすると、日当たりや形状といった固定概念に縛られがちになり、数少ない物件の中から見つけようとしてしまう。理想の土地を見つけられればそれに越したことはないが、条件が良くなれば土地価格も高価になるため、予算に合う土地がなかなか見つからないといった状況に陥りがちだ。

そこで、一般的によく言われる「南面道路、東南角地がいちばん」という固定概念を捨てて考えてみることも松下さんは一つの方法だという。「ロケーションや日当たり、土地形状の良さだけで判断するのではなく、新居でどのような暮らしをしたいのか、室内からどんな景色が見たいのか、そこには誰がいてほしいのか、といった新しい暮らしのシーンを思い描いてみてください。そこから自分たちに合った土地を建築士と一緒に探してみると、条件に合った土地に出会えるかもしれません」

続けて松下さんはこう話す。「たとえ日当たりの良くない土地であっても、陽光を取り入れる空間を設計することは充分可能です。南面に窓が切れなければ東や西に設置したり、トップライトを設けたりするなど手法はいくらでもあります。厳しい条件をいかにクリアし、希望される住まいを提供するかが私たち設計士の仕事です。形や広さ、道路付けなどの条件だけで土地を見るのではなく、その場所から見える景色や雰囲気などにも着目してみてください。進入路のある旗竿形状をした敷地や三角形の土地、狭小地などでも、そこに設計士を同行させ、暮らしをイメージしてみてください。これまでと違った土地の見方が可能になると思います」と松下さん。

土地を買う前に、土地と建物の総額でいくらまでかけられるのか、トータルの資金計画をしっかり立ててから行動することも忘れてはいけない。家づくりは土地探しと同時に進行するのが望ましい。自身の判断だけで土地を決めてしまわずに、暮らしのスタイルを思い描いたうえで、設計士と土地を探してみることも検討材料に加えてみてはいかがだろう。

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編集協力 静岡情報通信

投稿日:2015年2月20日

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